レースマネジメントに失敗。そしてメンタルが弱すぎて何度もリタイヤしようと思いながらも、レース中に出会った人に助けられて完走できた彩の国の100マイル。
良かったことは覚えているけど、失敗したことは忘れてしまうので、忘れないようにレースを時系列で書き留めておく。
(レース概要は公式サイトで第8回トレニックワールド 100mile & 100km in 彩の国)
目次
North
前半:肌寒いのに汗が止まらなかった
前日から降り続いた雨が残っていてスタート時は霧雨が降っていて気温は低め。
それでも走り出すと蒸し暑くて汗いきなり汗をかいた。トレイルに入るとやや肌寒いぐらいで、アームカバーをつけるか迷った。汗の量が多くアームカバーをつけると逆に冷えそうなのでそのまま走る。
全体的にペースが速く感じるので、できるだけマイペースを心掛ける。それでも周囲につられて緩い登りを少し走ったりして、予定より約10分速く第1エイドに2:14:47で到着。心拍数を振り返ってもそれほど無理なペースではなかった。途中、蓮さんに久しぶりに会って話ながら進む。
前日の雨で滑りやすいと嫌だなと考えていた白石峠もそれほど悪い状態ではなく、今回の彩の国のサーフェスは適度に湿っていてちょうど良いコンディションだった。
後半:よく分からないダルさ
30kmぐらいから怠く力がうまく入らない感じがしてくる。顔が欠けたアンパンマンの気持ちはこんな気分かもな〜と考えていた。
発熱はなく鼻水と就寝時の咳だけだったけど、一週間前から風邪を引いてしまったのが原因かなと思い葛根湯を飲む。加えて体が動かない時はエネルギーが不足していることが多いのでジェルも取る。
約1時間たっても変わらないのでカフェインも追加。くぬぎ村のエイドで少し長めに休んでサンピアを目指す。カフェインの効果も特になくダルイまま。さらに肌寒いのに汗も止まらない。
残りの距離を考えると早くもネガティヴになってくる。彩の国のコースはよく走っているエリアなのでコース上のキツい区間もしっかりと頭に入っていて、先を考えると余計に完走できない気がしてくる。
前を走っていたランナーの方に、もうすでに完走できる気がしないと話すと「考え出すとネガティブ思考に陥るので考えない方が良い」と励まされる。
それでもくぬぎ村以降は下りが多く、ダルさを感じつつも惰性で走り続けてニューサンピアには予定より20分早い 8:12:42で戻ることができた。
チームメンバーに元気付けられて2周目へ
気分を変えようとキャップとシューズを変える。慈光寺のヘッドライトチェックでなぜか電池がキレていたのでヘッドライトの電池を入れ替える。
豆乳とQPコーワドリンク(3周目に飲もうと思っていた)を飲む。少し重すぎるなと躊躇いながらも食べられる間に固形物はしっかり食べておこうとカレーを食べてエイドアウト。
この間、所属していたちゃんぷ練のチームメンバーが応援してくれていて、おかげで気が少し楽になった。
South1
前半:気持ちが切れて足が止まる
エイドを出るとシガイチで知り合った塚田さんに会う。人と話していると気持ちが紛れて良い。桂木観音に9:43:36着。予定より約30分早い。
気持ちを入れ替えてニューサンピアを出たはずなのに思わずエイドの座り込む。普段練習でも休憩時は座らないのにこの時は無意識だった。
フルーツポンチを食べながら少し休憩してkinocaに向けて登り始める。
体はダルイまま汗も止まる気配がなく、登り始めて約1時間たったところで急に前に進む気力が無くなって脚が止まる。
抜いていくランナーをしばらく見送る。皆んなが力強く前に走る姿を眺めていると、自分は本当に彩の国を完走したかったんだっけ?と疑問に思いだして桂木観音に帰ろうかと悩みだす。(あとで振り返ると末期的な思考回路でヒドい。この時は何でこのレースを走っているのか分からなくなってしまった。)
それでも、妻が初めての100kmレースで彩の国に挑戦しているのを考えると、自分が先に辞める訳にはいかないよな。と思い直して、まずは2周してその後どうするか考えようとニューサンピアを目指して走り出す。
結局、この辺りからラスト30kmぐらいまでは「少し走る→気持ちが切れて歩く」を繰り返す無限ネガティヴループだった。
後半:胃が気持ち悪くなり始める
Kinocaに予定から10分遅れて到着。この区間で予定よりも40分を余計に費やす。
エイドでクリームスープをもらう。あったかい食べ物が嬉しい。飯能アルプスは何も考えずにやり過ごして竹寺で豚汁をいただいて休憩。トマト、梅干しを勧められて食べる。
汗冷えなのか、日が落ちても汗が引かず肌寒い。エイドスタッフの人が今年はまだ気持ち悪い人に会ってないな〜と話していた。自分はすでに気持ち悪くなりかけていたので、この時すでに水分が不足していたのかもしれない。
補給した後もペースは上がらないまま子ノ権現に着く。茶屋のおばちゃんがあったかいお茶を飲んで行ったら?と声をかけてくれて、ありがたくお茶をいただく。多分ジャスミン茶だったと思う。お茶と一緒にAndoも流し込む。ここでおにぎりを買うぐらいの元気が欲しかった。
子ノ権現からの下りは走ったり、歩いたり。西吾野のトンネル手前のロードも全歩き。
自販機でデカビタを買って飲み干す。トンネルから高山不動までの登りは何も記憶に残ってない。
高山不動では肉うどんが用意されていて、美味しそう!と手に取ったものの、肉を見たら急に箸が進まず、箸をつけないまま元に戻して、飲み物だけ補給して桂木観音へ。
関八州見晴台からの下りはやや霧が出てヘッドライトだと見えづらかったので、ヘッドライトを腰に付け替えて下る。
ニューサンピアに戻る直前でヘッドライトをつけた10人ぐらいの集団が前から迫ってきて、何事?と思ったら道を間違えていた。右に曲がる分岐の矢印が一時的に外されていて、気づかずに皆んな真っすぐ進んでしまった。
悩みながらも背中を押されて3周目へ
ニューサンピアに19:51:09で到着。予定より1時間20分遅れての到着。
制限時間を考えるとまだ15時間残っていて、普通に考えたら何一つ問題ないはずなのに、3周目に行きますか?のスタッフの方の問いに即答できずサンピアに入る。
どうしようかなと悩みながらも3周目の準備をしていると服部さん(シガイチメンバー)、江美さん、ちゃんぷ練のメンバーに背中を押されて3周目にスタート。服部さんには首・肩周りもほぐしてもらって一気に軽くなった。
South2
前半:お腹を下し始める
3周目を走り始めるとシガイチの後半で一緒に走った稲垣さんに会う。ツラそうにしながらもペーサーの佃さんと完走を目指して走っていてやる気を貰う。
3回目の桂木観音はフルーツポンチがなくなっていて、おにぎりや柏餅が用意されていた。食べたいものがなかったので水だけ補給してkinocaを目指す。
この時、ちょうど女子トップだった澤田さんと少しだけ前後していた。ちょっとした平地もサボらず走る強い人だった。
しばらくすると、お腹が痛くなってきて走れなくなりペースを落とす。ペースが落ちるとネガティヴになってくる。時々えづきながら進む。レース後半は固形物はほとんど取ってないので出てくるものも無い。
ダラダラと走っているとkinocaの手前で斉藤さん(ペーサーJRさん)に抜かれる。昨年ニューサンピアで悔しそうな顔を見ていたので嬉しい。ポジティブな時だったらその姿を見て自分も頑張ろう!と思えるのに、この時は見送ることしかできなかった。
エイドに着いたらまずはトイレへ。バナナとグレープフルーツを食べる。どんなに体調が悪くてもフルーツは食べられる。
kinoca手前でまた一緒になった塚田さんがエイドアウトを待っていてくれていて、気持ちを持ち直して竹寺を目指して天覚山を登る。天覚山を登り切ったところで内山さんに抜かれる。下りが速くてあっという間に見えなくなった。
さっきトイレに行ったばかりなのに、下り始めると胃腸が刺激されてほとんど走れなくなる。塚田さんには先に行ってもらって歩いていると中山さん(シガイチメンバー)に抜かれる。中山さんとも慈光寺辺りから何度か前後しながらここまできた。やっぱり皆んな強い。
中盤:リタイヤを2度辞める
このペースで竹寺まで行くのかと考えると…前に進む気力が無くなってリタイヤしようと思い、天覚山を下ったところで地元の方に東吾野駅まで行く方法を聞いてみる。
すると「来たところを戻るしかないかな〜、でも竹寺まで行ってもそんなに変わらないんじゃないの」というまさかの返答。えっ!そうなの?と思いつつ、だったら竹寺まで歩いて行くかと思い直して歩き始める。
ロードからの登り返しで会った選手の人も胃腸トラブルで潰れていたけど、その人は水を沢山飲んだら復活したらしい。だったら水を飲んでみようとフラスコを見ると、エイドで補給したはずなのにすでに半分(500ml)減っていてさらに気持ちが落ちる。
South2のKinocaから竹寺まではノボットが中間地点のイメージ。でも歩きだすとノボットまでが遠い。今リタイヤしたら妻のフィニッシュにも間に合いそうだし、やっぱりもう無理だなと思いその手前の鞍掛峠でリタイヤを決める。
Google Mapで越生までのルートを調べてみたら、ちょうど6分後に北側の道路にバスが来る予定になっていたので少し迷いながらも下り始める。
すると後ろから「選手はそっちじゃないよ」と声を掛けられて振り向くと地元のおじさんだった。「もうリタイヤしようと思っています」と話すと「だったら南側に降りたほうがバスの本数も多いし、コンビニもあるし良いと思うよ」と勧められて、コンビニ良いなと思いながら反対に向かって歩き始めるとロードからトレイルに入るコースの分岐点に到着。
しばらくそこで後ろからくる選手を見ながら、再びリタイヤするかしないか携帯片手に悩み始める。
グダグダと悩んでいたら、「何やってるんですか?」と選手に声を掛けられる。「もうリタイヤしようと思って悩んでました」と話すと「良いんですか?絶対後悔しますよ!行きましょう!」と力強く言われ、迷いながらも再びトレイルを歩き始める。声をかけてくれて感謝!
後半:結局最後はメンタルだった
ノボット辺りで妻から届いた「太ももちぎれそう」のメッセージをふと思い出す。初の100km挑戦で何とか頑張ってフィニッシを目指しているのに、自分の足はまだまだ残っていることにここでようやく気づく。
竹寺でリタイヤするにしても最後は走ろう!と走り出すとさっきまでの胃腸の違和感も収まっていて足が動く。
しばらくするとちゃんぷ練の立石さんがコース途中で応援してくれていて、さらに気持ちが楽になって足が軽くなる。ノボットから竹寺まではこのレースで一番走れた区間だった。
走り始めるとリタイヤを考えていた竹寺まであっという間だった。竹寺に着くとエイドスタッフに知っている人が多くて嬉しい。走れるようになると時間に余裕も生まれて、気づいたらリタイヤしたい気持ちも無くなっていた。
フィニッシュまでの残りの距離を考えて、少しでも補給しようといなり寿司を半分食べながら竹寺を出発。
するとこれが失敗。あっという間にお腹が痛くなり子ノ権現までは走れずに早歩き。子ノ権現でトイレに駆け込む。
トイレから出ると茶屋の前にもチームメンバーが応援にきてくれていて元気をもらう(とにかく賑やかだった)。
お腹もスッキリして1周目は走れてなかった下りも走って西吾野へ。
途中の自販機でもう一度デカビタを買おうと思っていたけどすでに売り切れ。残っていたレモンティーを買って飲みながら高山不動まで登る。
高山不動では豆乳を飲む。卵焼きを口に入れてみたものの自分には甘すぎて飲み込めなかった。ここでも駆けつけてくれたチームメンバーに応援して貰って関八州見晴台に向かう。関八州見晴台からニューサンピアまで、色んなところで沢山の人に応援して貰った。
桂木観音からニューサンピアへ向かう途中、制限時間ギリギリでフィニッシュを目指す100kmの選手とすれ違う。足が終わった状態で前に進む姿はカッコ良かった。
レース結果:32:10:07で完走
30時間切りを目標にしていたので、約2時間オーバー。こんなに走るのを楽しめなかったレースは初めてだった。
スタートから慈光寺までの約5時間と、フィニッシュまでのラスト約6時間を除いた約21時間は自分に負け続けて、リタイヤするか悩みながら進んだ酷いレース内容。自己採点すると赤点ギリギリの30点。
途中一緒に走ってくれた人やリタイヤを引き留めてくれた人、応援してくれた人がいなかったら多分辞めていたと思う。
結果はともかく、次回は走ることを楽しんで出し切ってフィニッシュしたい。