2024年11月15日に開催された沖縄本島1周サバイバルラン、通称「沖サバ」を走ってきた。
沖サバとは約400kmの距離を制限時間72時間以内に完走する過酷な超ウルトラマラソン。

目次
沖サバ レース概要
距離:383km 累積:1,787m
2024 年は台風の影響でヤンバル地域に行かず、辺戸岬から宮里三丁目までピストンで戻ってくるコースに変更。
制限時間:72 時間制限
サポートは不可
第1 チェックポイント 残波岬(34km・5時間)
第2 チェックポイント 宮里三丁目(77km・12時間)
第3 チェックポイント 辺戸岬(163km・24時間)
第4 チェックポイント 海中道路あやはし(296km・48時間)
レース前日
20年振りぐらいの沖縄着。レース前日の気温は29度。空港を出ると湿度も高くてとにかく暑い。
まずはおすすめしていただいた沖縄そばのお店へ。

沖縄そばって少し濃い味付けのイメージがあったけど、しっかりとした味なのにシンプルで美味しい。
器には個性的な魚の絵柄が描かれていた。何の魚だろう?
このお店ではじめて、沖縄そばとソーキそばが違うということを知った。


沖縄を拠点に活動するデザイン事務所「Luft」が運営する Luft shop。
食器から家具まで、いろいろなものを自宅でも愛用しているのですが、見ているとあれもこれも欲しくなってしまうから危険(笑)。


夜はLuftのお二人と一緒に、沖縄の郷土料理のお店「富久屋」へ。
素材や味付け、調理法がどれも少しずつ違っていて、とても新鮮。滋味深く、しみじみ美味しい料理ばかり。
ご飯の横に出てきた味噌汁は「むじぬ汁」。ご飯が小さいのではなく、味噌汁がとにかく大きい!ボリューム満点で驚いた。
沖縄料理は学生の卒業旅行の時に市場で食べた記憶しかなかったので、「富久屋」で食べて沖縄料理のイメージがガラッと変わった。
第1チェックポイント 残波岬(34km)まで

レース前のブリーフィングの様子。
トレイルランニングのレースとはまた少し違う雰囲気。

ユースホテルの前から、ゼッケン番号が大きい順に10人ずつウェーブスタート。
過去の実績がある選手は数字が小さく、新規参加者やウルトラマラソンの実績がない人は大きい数字。
自分は41番だったので3グループ目にスタート。
走り始めてしばらくすると、前のグループの人たちと合流。
みんな腹の探り合いのような感じなのか、誰も前に出ずスロースタートでペースが合わない。
とはいえ、序盤から時計や携帯でルート確認しながら走るのは疲れるし、バッテリーも消費する。これから先を考えると、誰かと一緒に走りたいなと思いながらゆっくり走る。

しばらく一人で走っていると、後ろから来た櫻庭さんと竹内さんと合流。
並走しながら櫻庭さんからスパルタスロンの話を聞いてますます走りたくなった。2026年か2027年に挑戦できたらいいな。そのためにもまずは参加資格を満たすところから始めないといけない。
聞くと竹内さんは何度も沖サバを完走されていて、2人のおかげで安心感があった。

さらにしばらくすると、2023年の小江戸大江戸でしばらく前後していた内田さんと再会。(結局その時は内田さんが2位で、自分は3位)
内田さんもこのレースを何度も走っていて、「この交差点はここで渡った方がいい」「次のコンビニはここにある」など、情報をすでに把握していて頼もしい。


スタートして3時間36分で最初のチェックポイント、残波岬(34km)に到着。
スタート直後から降り出した雨も、この頃にはすっかり上がって暑い。高い気温と湿度に身体がついていかず、心拍数も高いままで5分30秒/kmでも滝汗。

チェックポイントで沖縄そばをいただく。
トレイルランニングのレースだとエイドで提供されるメニューが事前に告知されることが多いけど、沖サバのチェックポイントにどれだけ食べ物や飲み物が用意されているのか事前にわからなかったので、嬉しいサプライズだった。
第2チェックポイント宮里三丁目(77km)
第2チェックポイントまでは海岸沿いの道をひたすら北上していく。


堤防?見たことのない形。
市街地を抜けて海沿いの道に出ると、さらに沖縄らしさを感じて楽しい。ビーチに立ち寄りたい気持ちを抑えながら、先頭集団の背中を追って走り続ける。

18時30分ごろ宮里三丁目のチェックポイントに到着。
飲み物とバナナ、トマトなど軽食を補給。ここで一旦、先頭集団に合流できた。
第3チェックポイント辺戸岬(163km)
次のチェックポイントまでは約86km。沖縄本島の最北端・辺戸岬を目指して走る。

宮里三丁目を出たあたりからしばらく、櫻庭さん、内田さん、カトルスさん、三原さん、自分の5人でグループ走。
誰かがずっと先頭というわけではなく、途中でコンビニに立ち寄るタイミングで順番が入れ替わったりしながら、黙々と走る時間は心地よかった。

真っ暗な道路沿いに突如現れた農園。
気になって調べてみたら、食用菊の栽培で有名な地域だった。

夜明けとともに見えてきた辺戸岬。なかなか近づかない。この辺りになると集団もバラバラになって各自マイペースで走る。

「やんばる」の文字を見つけてテンションが上がる。ヤンバルクイナを見てみたいなと思いながら走っていたけど、結局出会えなかった。そう簡単に見られるものではないのかも。

朝8時ごろ最北端の辺戸岬のチェックポイントに到着。事前に作ったタイムチャートより1時間早く着いた。
写真に写っているのはスタッフの方と、辺戸岬の近くまで一緒だった三原さん。滞在時間はこのチェックポイントが一番長かった気がする。

せっかくなので少し岬周辺を散策。沖縄から北海道まで約1万kmを繋ぐ「JAPAN TRAIL」の始終点らしい。まったく知らなかった。約1万kmなんて想像もつかない長さ。
第4チェックポイント海中道路あやはし(296km)
辺戸岬から次のチェックポイントまでは約130km。
海中道路あやはしのチェックポイントを制限時間内に通過できたら、ほぼ完走が見えてくる。

辺戸岬から58号線の起点「奥」まで走って折り返し。本来のコースはそのままぐるりと沖縄本島東側を南下するはずだったが、今年は台風の影響で道路が通行止めの箇所があり、奥まで行ったら来た道をそのまま戻るコースに変更。
行ってみたかった共同売店発祥の地「奥共同店」でパピコを購入。写真を撮り忘れていた。共同売店とは、集落の住民が共同で出資・運営する商店で、コンビニのような存在。

正午ごろ晴れてきて暑い。辺戸岬を過ぎたあたりの宜名真共同店で飲み物と一緒にアイスを購入。初めて見たアイスで、ガリガリ君の沖縄版のような感じだった。
ひたすら走ってきた道を那覇方面に戻る。途中、急に眠気がやってきて、近くにあったバス停でしっかり横になって10分仮眠。沖縄のバス停は三方を壁に囲まれていて寝やすかった。

14時ごろゲリラ豪雨のような雨が降ってきて、小降りになるまで雨宿り。レース最後まで突然のどしゃ降りと晴れの繰り返しで、靴が乾く暇がなかった。
このあたりから走り続けるのがつらくなり、「45分走って15分歩く」というリズムで早歩きを混ぜながら進む。

2度目の宮里三丁目に着いたのは19時少し前。夜の雨は冷える。
そこから少し進んだところがチェックポイントになっていて、IBUKIのバッテリー交換。おでんをいただくこともできた。出発前に靴下を新しいものに交換したけど、結局すぐ濡れてしまいまったく効果はなかった。

沖縄本島の真ん中付近を西から東に移動して辺野古へ。基地周辺は物々しい雰囲気。
基地を少し過ぎたバス停でこの大会3回目の仮眠。

辺野古から南下していく途中に通った金武町は、すれ違う人も飲食店もアメリカ文化が強くて驚いた。深夜でも歩いている人が多かった。
写真はさらに南のうるま市で見かけた歩道のシーサー。
金武町だったかうるま市だったか、走っていたらマンションの上階から「頑張ってくださいー!」と応援してくれた人がいて、本当に元気をもらえた。


チェックポイントあやはしに向かう途中で2回目の夜明け。
フィニッシュまで(390km地点)
制限時間の5時間前、スタートから43時間後に最後のチェックポイントに到着。残り約100kmを29時間以内に走ればいいので、ほぼ完走は間違いない。同じタイミングで着いた内田さんと少し長めに休憩して、ゴールへ向けて出発。

完走が見えてきた安心感もあって、このポイントが一番滞在時間が長かった気がする。

あやはしの上で見かけた鳥。最初はアヒル?と思ったけど、カモ科の「バリケン」という鳥だった。家畜として飼われていたものが脱走して野生化したらしい。


走りながら対岸に宜野湾市方面が見えてきて、このときようやくフィニッシュが近づいてきたと感じた。(実際には全然近くなかった)


この日も雨が降ったり止んだりの天気で、一時は歩くのもツラいぐらいの土砂降りで雨宿りしながら進む。

残り40kmで2回目の夜。あと40kmならそれほど時間はかからないだろうと思っていたら甘かった。知念岬を過ぎたあたりからひたすらアップダウンの連続。350km走った後の峠走はキツく、なかなか進まずペースが落ちる。


峠が終わって走りやすいフラットな道に。このあたりで残り10kmほどだったと思う。
少しペースを上げて走っていたら、峠区間を一緒に走っていた内田さんがいない!振り返っても見えない!少し心配になって戻ってみると、道路脇に座り込んでいた(あまりの眠気に耐えられなかったらしい…)。

再び合流した後「終わったら何食べます?」みたいな話をしながら、もうすぐ終わる喜びに浸っていたら、フィニッシュ直前でも雨に降られて寒かった。

62時間14分07秒(深夜2時14分)にフィニッシュ。
ウェーブスタートだったので結果は3位。
前半一緒だった櫻庭さんはトップでフィニッシュ。最後まで速かった。
汗から甘い匂いがしてきて、自分の臭さに耐えられなかったので、そのまま予約していた近くのホテルへ。シャワーを浴びてベッドに横になったらあっという間に寝落ちしていた。

レース後最初の食事は「ジャッキー」のステーキとタコスとビール。お腹が空いていたのであっという間に完食。
390km走ったら自分の身体がどうなるだろう?と思っていたけど、想像以上に胃腸も足もトラブルなく完走できて本当に良かった。