朝5時30分頃、雲の平キャンプ場を後にして歩き始める。
ちょうど山荘の向こうに月が沈んでいくこの風景を見て、雲ノ平山荘の建築について「山小屋は“山の中の船”」と書かれていたのを思い出した。
2日目はこちらから
昨晩は雲が多かったけど、今朝も雲一つない快晴。3日目は雲の平から黒部川が流れる薬師沢小屋まで下って、薬師峠にある太郎平小屋のキャンプ場に宿泊予定。
山荘を過ぎると、アラスカ庭園と名付けられた道を歩いていく。アラスカには行ったことがないのでわからないけど、どこかアラスカに似た雰囲気の場所があるのかもしれない。
整備された木道を過ぎると、木の根と岩が多く滑りやすい急坂に変わる。
北側の斜面であまり日が当たらないせいか、雲の平に比べると少し鬱蒼とした雰囲気だった。
下りきると黒部川が目の前に。水が冷たくて気持ちがいい。“黒部の山賊”にはこの薬師沢との合流地点では「カッパが化けると伝えらられている」があると書かれている。このあたりで“山賊”も釣りをしていたのかなと思う。
吊り橋を渡り薬師沢小屋で少し休んだ後、カベッケが原を歩く。
由来はどんな由来なんだろうと思って調べて見ると、カベッケは漢字で「河化」と書き正体不明の日本古来の妖怪らしい。
カベッケが原から太郎小屋に向かう道は、1日目や2日目に歩いた稜線の道とは違った、深い山に囲まれた静かな谷ならではの風景がとても印象的だった。
雲の平を朝5時半頃に出て約5時間30分、11時過ぎに太郎平小屋に到着。
テント泊の受付に小屋に行ってみると、山小屋での受付ではなくキャンプ場に受付があるとのこと。小屋の前からはここまで歩いてきた景色を見ることができた。
山小屋から歩いて約20分。キャンプ場に着いてみると小さな小屋の中に簡易的な受付が設けてあって、さらに冷えたビールまで販売していた。
早速受付してテントを張ってビールを買って昼食。ここはアクセスも良く、一泊二日で登ってこれるので親子でテント泊をしている人達も結構いて、1日目~2日目より賑やかな雰囲気。
このままキャンプ場でのんびりするのも良いけど、せっかくなので薬師岳にピストンで登ることに。
途中、ULスタイルで歩いているの 海外の方を数人見かけた。どのザックも使い込まれていて格好良い。
時間次第では適当なところで引き返そうかと思っていたけど、ザックがない状態だと楽に歩けて、約1時間(コースタイムの半分ぐらい)で薬師岳山荘に到着。
途中から陽射しを遮るものが無くなり、暑くて喉が渇いたので、薬師岳山荘で冷えた炭酸飲料を購入。炭酸は最後の一本だった。
山頂手前のピーク。ザレたつづら折りの道を登ると避難小屋跡にケルンが積んであった。そこから稜線沿いにしばらく歩くと薬師岳山頂に到着。
山頂に着いたのが15時過ぎ。この時間に太郎平から登ってくる人はほとんどいなかった。山頂にいた人達と話してみると、富山に住んでいて日帰りで来た人や、立山から五色ヶ原を超えて歩いて来た人など様々。
日帰りハイキングが薬師岳とはこの辺りに住んでいる人はスケールが違う。
下山後、沈んでいく夕日を眺めながら、太郎平小屋までガスの買い出しに。
後ろを振り返るとさっき登っていた薬師岳も赤く染まっていた。